奥山の峠道を、キノコの森めざして車を走らせていると、突然左側のガードレールを乗り越えて、なにか黒いものが現れた。
ん?何? ──げええええええっ!熊だああああっ!
車を急停止させ、すぐに助手席のデジカメに手を伸ばした。
熊は、こちらを振り返り、ちょっとおたおたしてみせると、すぐにいま来たガードレールを跳び越えて、姿を消してしまった。
ガードの向こう側は、遙か下の沢まで続く、急峻な斜面なのだ。
10年くらい前に2度ほど降りたことがある。
あんな斜面を登ってきたなんて…体力あるなあ、とか思っているうちに撮影し損なってしまった。
ここらの山は、あちこちに「熊出没注意」の看板が立てられ、「グワォーッ!人間喰っちゃる!」的な熊の絵が描かれていて、本当にこわい。
でも僕は、この20数年間、一度も熊に出会ったことはなかった。
やっぱりいたんだな…まさか、今日は熊さんの遠足の日とかで、あちこちに出て来たりはしねえよな…
いやな妄想が頭の中をかけめぐった。
キノコ狩りの人たちは、ふつう腰に大きな鈴を付けている。
鈴の音で、熊に人間がいることを教えてやるためだ。
熊だって人には会いたくないのだそうだ。
危険なのは、出会い頭だ。思いがけなく突然出会ってしまうと、熊もパニクっちゃって人を襲うということである。
ちなみに僕ミロは鈴をつけてない。
口笛を吹きながら、時折あちこちの尾根を見回しながら、沢筋を歩いている。
もちろん、熊がいないかどうか注意しているのだ。
口笛で吹くのは、伊福部昭の曲が多い。
「メーサー殺獣光線砲車出撃マーチ」とか「海底軍艦・轟天号出撃マーチ」である。
昔の東宝特撮怪獣映画のテーマソングなのだが、その道の人にはメジャーな曲である。
最後に、本日の収穫。
前回のナメコが約2.5倍に育っていたのでいただいてきた。
ムキタケも大小取り混ぜてゲット。
大きくなったムキタケは、毒茸のツキヨタケと似ているので迷うが、
木に接している部分に黒くシミがあるのがツキヨタケ。ムキタケはないです。
迷ったら二つに裂いて、根本の部分を確認して下さい。
ナラタケも多少とれた。
ヤマブドウもたくさん拾うことができた。