ども。ミロです。
冬の風物詩といえば、
私の町ではこういうものが飛び始めるんです。
空気が冷えて来ると、
熱気球の季節到来というわけです。
早朝から、気球のバーナーから出る炎の音が囂々と聞こえて来ると、
カメラをかかえて外へ飛び出します。
なぜかよくうちの真上を気球が通って行きます。
近くの田んぼに着陸する気球を見ることもよくあります。
風船乗りの夢
夏草のしげる叢から
ふはりふはりと天上をさして昇りゆく風船よ
籠には旧暦の暦をのせ
はるか地球の子午線を越えて吹かれ行かうよ。
ばうばうとした虚無の中を
雲はさびしげに流れて行き
草地も見えず 記憶の時計もぜんまいがとまつてしまった。
どこをめあてに翔けるのだらう
さうして酒瓶の底は空しくなり
酔ひどれの見る美麗な幻覚も消えてしまつた。
しだいに下界の陸地をはなれ
愁ひや雲やに吹きながされて
知覚もおよばぬ真空圏内にまぎれ行かうよ。
この瓦斯体もてふくらんだ気球のやうに
ふしぎにさびしい宇宙のはてを
友だちもなく ふはりふはりと昇つて行かうよ。
〔萩原朔太郎「青猫」以後〕