西洋ヒイラギナンテン ‘チャリティー’

西洋ヒイラギナンテン ‘チャリティー’

西洋ヒイラギナンテンです。
多分、十年以上前からうちにあります。
ことしは、いつになく花穂が大きいようです。
雪が降るのは早かったけど、その後の気候は割と暖かめに推移してきたので、
そのせいもあるかなと思っています。

この花、冬から咲き始めるんだけど、なかなか開かないんですよね。
冬の間中、蕾のままで、3月頃になってようやく開花! というのも珍しくありません。
開かなくても、色の乏しい冬の庭に、この鮮やかな黄色はとても貴重です。

正式名称は、マホニア・メディア ‘チャリティ’です。
これとは別に、マホニア・ジャポニカというのがあって、こちらはただヒイラギナンテンと呼ばれています。
花の色は白で、春咲きです。

ジャポニカと聞くと、いかにも日本原産かと思わせますが、台湾、中国、ヒマラヤ原産で、
日本には江戸時代に渡来したそうです。

葉にトゲがあってヒイラギのようだし、青い実のなる様子がナンテンのようだというので、
ヒイラギナンテンと名付けられたと思われます。

植物の和名なんですが、けっこうこの手の「見立て」で名付けられた例が多く、
誤解を生む元となっています。

「鈴蘭」と聞くと「ああ、ラン科の花か」と思いこむ人って、案外多いんじゃないでしょうか?
スズランは、いちおうユリ科です。
花の形が鈴のようで、葉の付き方がランのようなので、鈴蘭になったのでしょう。

また、「オウバイ」という早春に黄色い花を咲かせる木があるのをご存知ですか?
「黄梅」という字を書くので、梅の仲間だと思っている方がけっこういるみたいですが、
オウバイはモクセイ科で梅はバラ科です。
花の形が梅に似ているので、こういう名前が付けられたと思われます。
感覚的には分かるんだけど、やはり、誤解の元ではありますね!

じつはヒイラギナンテンの場合、この植物はメギ科なんですが、
ヒイラギはモクセイ科、西洋ヒイラギはモチノキ科、ナンテンはメギ科となってます。
直感的にナンテンの仲間と見たところは、当たらずといえども遠からず、ですね。

植物分類学というのは、植物の生殖器官である花の構造を基準に、
進化論的系統分類がなされてきました。
その流れのもとを作ったのがリンネですが、
最近ではDNA解析にもとずく分類法が主流になりつつあります。
APG植物分類体系といいますが、それでも、直感的に分かりやすいので、
当分これまで通りの分類法は生き残ると思われます。