『ゴジラ』(昭和29年版)の思い出

前回の続きです。


あなたはゴジラ・ファンですか? って聞かれたら、私はなんと答えるべきだろう?
映画館で怪獣映画を見たのは、じつは大人になってからが初めてなのでした。

子供の頃は、新しいゴジラ映画が作られるとマンガ雑誌がよく紹介していたもので、
ゴジラ映画を見てえなあ! と、子供心に思った記憶があります。
でも、映画館は隣町にしかなかったし、
そもそも映画を見るようなゼイタクは、我が家の生活にはありませんでした。
親父に連れて行ってもらった記憶が一度、あるぐらいのもんです。

『三大怪獣地球最大の決戦』とか『ドゴラ』とかは、テレビで放送したのを見た記憶があります。
当時はけっこう、夏休み時期とかに、東宝特撮映画をテレビで放送することがあったんです。
しかし、ゴジラ映画や非ゴジラ特撮映画のほとんどをわたしが見たのは、
レーザーディスクが発売されるようになってから以降のことです。

それ以前にもビデオテープが発売されてはいましたが、当時の市販ビデオの値段というのは、いまからは考えられないほど高額でした。
第一作の『ゴジラ』の東宝正規版が、39800円だかだったと思う。
とてもおいそれと手の出せる値段ではありませんでした。

私がはじめて『ゴジラ』昭和29年版を見たのは、正規品をコピーしたビデオでした。(なんか、話がヤバくなってきたな(´ε`;))
むろん、それは当時でも違法でしたが、ビデオ・レンタルといっしょに「コピー・サービス」をしているような店が、昭和後期にはけっこうありました。
ようやくビデオ・デッキが一般家庭に普及し始めた頃のことです。
1000円ぐらいでコピーしてもらったような記憶があります。

画質はコピーのため荒れてたけれど、ようやく初めて見ることの出来た『ゴジラ』は、
わたしがそれまでいだいていた「怪獣映画」のイメージを完全にくつがえすものでした。
この違法コピー版のビデオを、わたしはその後十何年か、
レーザー・ディスク版を手に入れるまで、大事に持ち続けていました。
そんなふうにしてしか、当時は昭和29年版『ゴジラ』を見ることが叶わなかった。

いまは、BSで時々放送するし、DVDもネットで手軽に購入することができるので、
『ゴジラ』を見るのはぜんぜん難しいことではなくなりました。
いい時代になったものです!

いまの若い人たちが「ゴジラ」と聞いてすぐに思い浮かべるのは、
たぶん平成ゴジラシリーズだろうと思うのですが、
まだ、昭和29年版『ゴジラ』を見たことがない人がいたら、ぜひ一度、見ることをおすすめします。

『ゴジラ』 1954年(昭和29年)予告編

じつはわたしは、昭和29年版『ゴジラ』を除いては、ゴジラ映画が特別好きというわけではありません。 それよりもゴジラ・シリーズではない東宝特撮映画の方に、より深い思い入れがあります!

『海底軍艦』
『空の大怪獣ラドン』
『地球防衛軍』
『サンダ対ガイラ』
ここらへんがマイ・フェバリット・特撮映画です!

理由のひとつは、魅力的なSFメカが登場すること。 海底軍艦・轟天号、マーカライト・ファープ、メーサー殺獣光線砲車などなど。 小松崎茂デザインのSFメカが、円谷特撮で3D化されて見られるというのは、 それだけで文字通りの「見もの」でした。

もう一つの理由は、勇壮にして骨太な伊福部マーチが聞けること! 特に、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』で流された、メーサー殺獣光線砲車出撃マーチ(メーサー・マーチ)は最高です!

『シン・ゴジラ』でも、ゴジラのメイン・テーマをはじめとして、 フリゲート・マーチや宇宙大戦争マーチなどの伊福部マーチが自衛隊の活躍場面で流れ、 海上自衛隊や航空自衛隊にはぴったりだと思いますが、 陸上自衛隊にふさわしいのはなんといっても「メーサー・マーチ」だと私は思います。 アレンジの仕方にもよりますけどね。 残念ながら『シン・ゴジラ』では使われていませんでしたが。

「メーサーマーチ」伊福部昭/作曲 「自衛隊マーチ」小六禮次郎/作曲  
「Gフォースマーチ」伊福部昭/作曲

『シン・ゴジラ』のエンド・クレジットに記されていた伊福部昭の音楽は、 『ゴジラ』『キングコング対ゴジラ』『メカゴジラの逆襲』『宇宙大戦争』『三大怪獣地球最大の決戦』『怪獣大戦争』『ゴジラVSメカゴジラ』となっていました。

どれがどこで流れていたか、はっきり覚えていないけれど、もちろん伊福部昭の音楽だということはすぐにわかりました。 それ以外の音楽はすべて、鷺巣詩郎作曲です。

『シン・ゴジラ』の音楽を代表して、『怪獣大戦争マーチ』を上げておきます。

『怪獣大戦争マーチ』

そして理由の3つ目は、「東宝自衛隊」の活躍! 違憲だとかなんだとか、自衛隊がボロクソに言われていた時代にも、 東宝映画のスクリーンの中では、自衛隊は怪獣たちを相手に日本を守って戦っていました。

ゴジラが子供だましに成り下がり、シェーしたりするのを「けッ!」と言って横目で見ながらも、 怪獣と戦う東宝自衛隊をぼくらは応援していました。

いったいこれまで、何千何百人の東宝自衛隊員たちが怪獣との戦いで殉職してきたことでしょう! かれらを慰霊するために、「シン・ヤスクニ招魂社」を建ててやりたいくらいです!

ところで『シン・ゴジラ』の公式記録集『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』、いったいいつ発売されるんでしょうね? 最初はたしか8月29日のはずが、9月下旬に延期され、さらにまた11月3日(ゴジラの日)に延期になったとか。 わたしはすでに予約済みですが、庵野監督がこだわりぬいて次々に資料を追加するものだから、 どんどん発売日が伸びてるらしい。

まだ、予約が間に合いそうです。

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ カラー、東宝