スプリング・エフェメラル

スプリング・エフェメラルSpring Ephemeralと呼ばれる、一群の植物たちがあります。

キクザキイチゲ
アズマイチゲ
イチリンソウ
ニリンソウ
フクジュソウ
セツブンソウ
エゾエンゴサク
ヤマエンゴサク
ムラサキケマン
カタクリ
ショウジョウバカマ
などなど。

いずれも春一番に咲く樹林下植物たちです。

          ショウジョウバカマ

エフェメラルというのは“蜻蛉”(かげろう)のこと。
かげろうは谷川などの水の綺麗なところに棲息していて、羽化して数時間で死ぬものもあり、
「はかなさ」の象徴みたいな昆虫です。

そこからスプリング・エフェメラルは「春のはかない命」というような意味になります。

蜻蛉の幼虫は綺麗な流れの石の下に棲み、渓流釣りの時にその場で取ってよく餌にします。
イワナやヤマメの食いつきが抜群です。

そういえば渓流釣りにも暫く行ってないな。行きたい。






フライ・フィッシングでも、早春によく効く「疑似餌」(ぎじえ)として、蜻蛉を模したフライが使われます。
これは「ニンフ」(妖精)と呼ばれますが、蜻蛉のイメージが彷彿してくる呼び名で、とてもいいと思います。

写真は私の庭のスプリング・エフェメラル「ショウジョウバカマ」です。
「猩々袴」と漢字では書きます。

「猩々」は中国に伝わる伝説上の動物で、顔が赤く猿のような姿をしていると言われています。
それが袴をはいているように見える植物、と言うほどの名前でしょう。
(付記。猩々は真っ赤な色のことで、冬場葉が赤変するのを赤い袴に見立てた、と素直に解釈すべきかもしれません。訂正しておきます。)

漢字で書かないと意味のわからないネーミングです。

20年以上も前に山取りしたもので、それ以来春一番に、毎年やさしい色合いの花を咲かせてくれています。

これを採集した場所は山のちょっとした斜面で、
まばらな落葉樹の下に、一面に広がるミズゴケの中に群生していました。

それから2~3年して同じ場所に行ってみたら、ミズゴケごとすっかり姿を消していました。
原因は、斜面の上に堤が造られてしまい、斜面に水が流れなくなったためでした。
自然の生態系は、人が自然にちょっと手を加えただけで、すぐに大きく変わってしまいます。

スポンサーリンク