山田辰夫逝く~『狂い咲きサンダーロード』

山田辰夫を初めて見たのは、…はじめて知った瞬間でもありましたが、
石井聰亙監督『狂い咲きサンダーロード』でした。


「なんだ、こいつは!」というのが、最初の感想。
よくいえば、めっちゃくちゃ個性的!
変なヤツがでてきたなあ、という感じでしたが、
感染力がある俳優だと思いました。

忘れた頃に、テレビドラマにチョイ役で出ている彼を見ました。
「ついに出てきたか!」

『狂い咲きサンダーロード』にかなり夢中だったもので、
その後の彼は追跡していませんでした。
山田辰夫という俳優は、
私の中で『狂い咲きサンダーロード』で完結していたからです。

仙台東映がまだあったころ、
深夜映画イベントとして、
「都会の闇を駆ける青春」というテーマで、
『ウォリアーズ』
『ワンダラーズ』
『グリニッジヴィレッジの青春』とともに、
『狂い咲きサンダーロード』が上映されました。

みんな、いい映画ばかりだったな。
『ウォリアーズ』は今でも時々、
ビデオで見直しています。

監督の石井聰亙が舞台挨拶にやって来て、
質疑応答などの時間も有りました。

石井聰亙は自主映画からメジャーの世界へ出てきたばかりで、
製作費がない中で作った映画だったけれど、
スタッフや出演者の「熱気」だけは当時の映画の中で随一でした。
その「熱」に感染したんだと思います。

いちおう主題歌は、
泉谷しげるの『電光石火に銀の靴』なんですが、
この映画のために作曲したわけではなく、(お金がなくて依頼できなかった)
既存の曲の中から使わせてもらったものでした。

イズミヤのほかにも、パンタ&ハルなど、
伝説的な日本のロックバンドのナンバーが随所に使われ、
日本のロック・ムービーになっています。

『狂い咲きサンダーロード』1980年

山田辰夫、『おくりびと』にも出てたんですね。
すげえ、演技派になっていました!

身体の奥底から湧いて来るような演技は、
『狂い咲きサンダーロード』のころから彼のものでした。
いっそう磨きがかかって、いい役者になったのに、
残念なことでした。

合掌。

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