『ナショナル・キッド』(1960,NET)全話が無料! そいつぁゴーキだね!
1980年代のある時期、なかなかお目にかかることのできない初期特撮テレビ映画やレアな特撮映画の数々が、一気にビデオ化されて売り出されたことがあった。
『スーパージャイアンツ』
『まぼろしの怪獣アゴン』
『マリンコング』
『月光仮面』
『少年ジェット』
『海底人8823』
『七色仮面』等々。
『ナショナル・キッド インカ族の来襲』もそんな中の一本だった。「第一部 インカ族の来襲」全13話を160分にまとめた総集編である。値段は19800円!
このビデオを、なぜか私は持っているのだが、こんな高いもん、ビンボーな私が買えるわけはないので、たぶん、レンタルビデオの処分品を安く手に入れたのではなかったかと思う。
この『ナショナル・キッド』全4部39話が、東映特撮YouTube Officialで、8月15日から無料配信が開始された!
タダで見られるというのはスゴイ!
しかも全4部すべてがだ!
第一部「インカ族の来襲」全13回
第二部「海底魔王ネルコン」全9回
第三部「地底魔城」全8回
第四部「謎の宇宙少年」全9回
現在、第一部「インカ族の来襲」の第1話「謎の円盤来襲」と第2話「ダブルZの恐怖」が配信中だ。
これ以降は毎週月曜日22時から、2話ずつ更新される予定!
若き日の太地喜和子(志村妙子) 、少女時代の本間千代子の姿が見られる。
当時は、後に有名になる俳優さんが子供番組に出演していることがよくあった。
吉永小百合は、『赤胴鈴之助』(1957,KRT[現TBSテレビ])でテレビデビュー、次回作『まぼろし探偵』(1959)にも引き続き出演していた。
和泉雅子も子役時代『少年ジェット』(1959,フジテレビ)に出演していた。
また、特撮美術を担当したのが成田亨(成田享)であり、彼がのちにウルトラマンやウルトラ怪獣のデザインの数々を手がけたことを思えば、その原点の一つとして『ナショナル・キッド』は見逃せないだろう。
わが少年時代の謎『ナショナル・キッド』
私の少年時代には「謎」だったものがいくつかある。
その一つが『ナショナル・キッド』だった。
メンコに不思議な写真やイラストが印刷されていて、そこに「ナショナル・キッド」と書いてあったのだ。
でもわたしには何のことか分からなかった。
やがて中学高学年になると、ラジオの深夜放送がブームになり、ナツマンが流行しだして、『赤胴鈴之助』や『月光仮面は誰でしょう』とともに、『ナショナル・キッドの歌』を知ることになった。
私は見たことがなかったが、そういうテレビ映画があったのだ。
「懐メロ」が「懐かしのメロディ」の略称であるように、「懐マン」とは「懐かしのマンガ」ないし「懐かしのマンガ主題歌」のことを指す。
同様に謎だったものに、『ジャワの東』や『ピロンの秘密』というのがあった。これもメンコでしか見たことがなかった。
前者はアメリカ映画のタイトルであり、後者は手塚治虫の漫画が原作のSF実写ドラマなのだが、謎が判明したのはかなり後のことになる。
ガキの頃、メンコの腕はけっこういい方だったので、当時の戦利品が今も残っている。
「メンコ」という標準語もだいぶ後になって知った。当時地元では「パッチ」とか「パッツ」とか「パッタンコ」などと呼んでいた。「バッタ」という地域もあった。遠征して勝負して回ったものである。
それから、国民小僧の全貌が、次第に明らかになって行った。
マンガ版『ナショナル・キッド』一峰大二
テレビ放送と時を同じくして、『ナショナル・キッド』は漫画でも連載されていた。
月刊漫画誌『ぼくら』で、漫画家は一峰大二。
一峰大二は『白馬童子』『七色仮面』など、テレビ映画のコミカライズを数多く手がけてきたマンガ家だ。
『スペクトルマン』や『ウルトラセブン』なども描いていた。
オリジナル作品として『電人アロー』や『ミサイルマン・マミー』などのヒットSFマンガも描いている。
今も残してあるのは上にあげたこれだけで、COMIC PET版とか漫画名作館版も持っていたが、ずっと昔にヤフオク!行きになってしまった。
テレビで見た覚えも、マンガ連載を読んだ覚えもないのだから、「懐かしさ」は感じたことがなかった。ただ、昭和30年代の人気SFマンガがどんなものだったのか、ほとんど「考古学的興味」から求めたものである。
テレビ映画にしろマンガにしろ、現在から見ればいくらでも突っ込もうとすれば突っ込みどころは満載である。
ただ、何が人気を博した理由なのかを考えると、「空を飛ぶ快感」のようなものが、両者から共通して感じられるように思う。
特にテレビでは、タイトルバックの映像を見るだけでも、銀座にあったナショナルの広告塔から始まって、銀河、東京タワーや当時の東京のビル群を背景に、合成を中心にした当時の特撮技術を駆使して、ナショナル・キッドが悠々と飛翔する姿を映し出しており、テンポが早く歯切れのいい主題歌と相まって、素晴らしい効果を作り出していると思う。
そして「インカ金星人」「海底王国」「地底魔城」「宇宙少年」など、昭和の少年の心を未知の世界へ連れ出してくれる仕掛けが張り巡らされている!
マンガ版は、第一部から第四部まで、テレビと同じ原作で描かれているが、注目すべきは、テレビ版にはない第五部「昆虫戦士の巻」、第六部「ターザン博士の巻」があることだ。
じつは、昆虫戦士やゼミア地底戦虫がけっこう好きである。テレビで見たかったなあと思う。
『ナショナル・キッドの歌』(松下電器宣材版)
作詞をした大貫正義は、『ナショナル・キッド』の原作者である貴瀬川実の本名である。
作詞/大貫正義 作曲/佐野雅美 歌/ビクター児童合唱団
『ナショナル・キッドの歌』
作詞/大貫正義 作曲/佐野雅美 歌/ビクター児童合唱団
雲か 嵐か 稲妻か
平和を愛する人のため
もろてを高くさしのべて
宇宙に羽ばたく 快男児 おお
その名はキッド ヘイ
ナショナル・キッド
僕らのキッド キッド
ナショナル・キッド
人か 天馬か 龍神か
四海を乱す者あらば
どとうさかまく 荒波を
けだてて進む 快男児 おお
その名はキッド ヘイ
ナショナル・キッド
僕らのキッド キッド
ナショナル・キッド
愛か 誠か 情熱か
正義にはむかう者どもを
撃つぞ地底の果てまでも
はがねの様な 快男児 おお
その名はキッド ヘイ
ナショナル・キッド
僕らのキッド キッド
ナショナル・キッド