我が家のペット――カナギッチョ! (ニホンカナヘビ)

ペットというのはいろいろな事情があって、
我が家にはいません。

亡くなった母が生き物を飼うのを嫌がったこと、
私が尊敬する稲垣足穂の「ペットを飼うのは不道徳である」という言葉を信じていること、
若かった頃、山で捕まえた野鳥の子を家で飼おうとして死なせてしまったトラウマ、などなど、
いろいろな事情が重なった結果です。

だいぶ昔にいちどだけセキセイインコを飼ったことがあります。
鳥かごを落としてしまい、逃げられてしまって、
それきりペットというものは飼ったことがありません。

それでも生き物は大好きで、
庭を作るときも蝶が集まる庭を作ろうと考えブッドレアなど蝶の好きな木を植えたり、
野鳥の来る庭にしようと実のなる木をたくさん植えたりしました。

さらにカブトムシの集まる庭にしようと考え、
クヌギの木を植えようとあちこち探しましたが、
とうとう入手できずにこのアイデアはあきらめました。

子供のころの話ですが、
虫取り網を持ってあちこちセミを求めて歩いていたら、
庭に高い木がたくさんある1軒の家を見つけました。
セミの鳴きすだく声が降り注いでいます。

そっと庭に入り、セミの声の聞こえる木に近づこうとしたとき、
廊下のガラス戸ががらりとあいて、
「うちのセミを捕らないでちょうだい」とそこの夫人にきっぱり言われました。

それ以来、庭にセミの来る樹のある家がずっとわたしの憧れでした。
さいわいいまはそういう樹のある家に住んでおります。
わが庭では毎年セミが生まれ、
夏になるとアブラゼミ、ヒグラシ、ミンミンゼミが飛び回り、
旺盛な鳴き声を聞かせてくれます。


カナギッチョ


これは意図して飼っているわけではないのですが、
庭を作ったら「結果的に」わが庭に住み着いて繁殖するようになりました。
子供のころは「カナギッチョ」と呼んでいたのですが、
正式名称はニホンカナヘビというようです。

私のお気に入りの庭の仲間です!

カナヘビは「愛蛇」で、可愛い蛇という意味だと言います。
悪さをするわけでなく、ちょろちょろ走り回ったり、
花や庭木の上で日向ぼっこしたりするだけのほんと可愛いヤツです。

こんな私もいちどだけ本気で「飼いたい!」と思った動物がいます。
それはこれ!

くう~~っ、かわいい!
ハリネズミくんです。

イギリスでは生垣の際などに普通に住み着いていて、
庭にとことこと出て来て歩き回ったりするという雑誌記事を読んでから、
「うちにも欲しい!」と思うようになりました。

しかし生態などを調べてみると、
まず寒すぎる気候は苦手だということで東北の冬は越せそうにないなあと思いました。
人工的な飼育は最初からやる気はないので、きっぱりとあきらめました。
いまはハリネズミのいろいろなグッズを集めるだけにしています。

母が亡くなって、いまは一人で暮らしていますが、
一人で暮らすというのはこれまで想像したことがない淋しさがあります。
ペットを飼うという選択肢はないものの、
それでも友達が欲しいと思い、いま、「ともだち」を作っているところです。
それについては、次回にでもお話ししたいと思います。