『水戸黄門旅日記』という主題歌があった

ども。ミロです。

『水戸黄門』(TBSテレビ)が現在放送中の第43部で終了するそうです。
ずいぶん長く続いたもんですね。

主題歌の『ああ人生に涙あり』を聞くたびに、
「どうして最初の頃の主題歌を使わないんだろう?」とずっと不思議に思っていました。
最初の主題歌の方が、風格があってよかったのに…

最初の主題歌と言うのは『水戸黄門旅日記』といって、
三波春夫が歌っていました。

同じ頃『高杉晋作』という時代劇があって、
こちらの主題歌も三波春夫が歌っていた覚えがあります。

「行くぞ 高杉晋作が」と言う最後の1節しか、いまでは記憶がありませんが、
どちらもいい歌でした。

YouTubeを探してみたら、ありました!『水戸黄門旅日記』が!
ほんと、なんでもあるな、ようつべには。

三波春夫『水戸黄門旅日記』 昭和39年(1964)


『水戸黄門旅日記』
作詞:藤田 まさと 作曲:福島 正二 歌:三波春夫

1.風吹くままに 花は散り
  雲行くままに 人は去る
  世の移ろいを 観るなれば
  貧しきものも 富むものも
  同じ仮寝の 露の宿
  あゝ水戸黄門の 夢はるか

2.身は百姓に やつせども
  昨日の錦衣にしき 今日の襤褸ぼろ
  隠せぬ旅の 旅ごろも
  たずぬる里の 空しさは
  道を説きつつ 泣く心
  あゝ水戸黄門の 道はるか

3. つばくろの春 雁の秋
  
めぐりし国は 数あれど
  廻りし事の おもいでは
  心を責むる ものばかり
  義心一道 なお遠し
  あゝ水戸黄門の 旅はるか


しみじみといい歌ですね!
高度経済成長バリバリの現主題歌とは大違いです。

黄門さま役は月形龍之介でした。

この頃の『水戸黄門』は、ブラザー劇場といって、
いまのナショナル劇場の前の別シリーズでした。

で、主題歌ですが、
歌詞の中の「百姓」という表現が差別的で不快だと、
農協からクレームが付いたのがもとで、
新シリーズから主題歌が別のもの(現主題歌)に換えられたようです。

でも、作品の時代は江戸時代ですからねえ。
まさか「百姓」のことを「農民」と呼んだりはしないでしょう?

そこを曲げたところから、
今の『水戸黄門』の荒唐無稽路線が出発したわけですが、
それで長寿番組になったとすれば、
TBSにとっては農協さまさまといったところでしょうか?

実際の水戸光圀は、
江戸と水戸のあいだを行き来する程度しか「旅」というものはしていないようです。

ただし、為政者と民、両方が喜ぶような政治をしなければならぬという考えを持っていて、
その点は、浪曲やドラマの中の黄門さま像に活かされているのでしょう。

水戸光圀の行った大事業として『大日本史』の編纂が有名ですが、
光圀はそれまで行われて来た「編年体」ではなく、
天皇一代ごとの事績を中心にまとめた「紀伝体」の史書を作ろうとしました。

光圀の存命中には完成せず、完成したのは何と250年後の明治時代でした。

その間に、
『大日本史』を貫く尊王思想から派生した「水戸学」が、
幕末の日本に大きく影響し、尊王攘夷思想の起爆剤となり、
明治維新につながって行ったのは、
歴史の皮肉としか言いようがありません。

見つけました!

『高杉晋作』 歌:三波春男  昭和38年(1963)

『高杉晋作』
猪又良/作詞 春川一夫/作曲

1.六十余州を 揺り動かして
  菊を咲かせる 夜明けが近い
  望むところだ 幕末嵐
  剣を つかんで 
  行くぞ   高杉晋作が

2.花を愛する 蜜より甘く
  国を愛する 誰より強く
  月にうそぶく 長州桜
  せくな 騒ぐな
  ここと決めたら 派手に散る

3.雲をつらぬく 巨木のように
  ひとり天下を 見下ろす男
  どんと叩いた この胸板の
  若い こだまが
  明治維新の 明け太鼓

  1. 三波春夫さんの時代劇の主題歌は…水戸黄門旅日記と水戸の黄門さまと高杉晋作と桃太郎侍の他にもあったような気もしますが何れも詩の内容に威厳を感じますね。

    • コメント、ありがとうございます。

      三波春夫さんの主題歌で知っているのは、あと『鞍馬天狗の歌』ぐらいですね。
      あれもなかなか堂々たる幕末・維新物に仕上がっていると思います。

      子供向けのテレビ番組でも、あの頃は時代物がけっこう多かったような気がします。
      『風小僧』『風雲真田城』『神州天馬侠』『隠密剣士』『竜巻小天狗』・・・

      ドラマの内容はすっかり忘れてしまっても、
      主題歌だけは今でも覚えているというのが不思議ですね。