川内康範さんが逝った。８８才。
最後まで矍鑠とした様子だったので、突然といえば突然の死だった。
『月光仮面』の原作者として、また、最近では『おふくろさん』をめぐって
森進一との間で確執があったことで知られている。
『月光仮面』には、じつはモデルがある。
「月光仮面」は私より少し上の世代が夢中になったテレビ番組だった。
私はリアルタイムでは見ていない。
でもビデオテープを１本持っていて、映画版『月光仮面 悪魔（サタン）の爪』がそれだ。
オートバイが思ったよりスピードは出ているし、
なにより画面のスピード感は、今見ても充分だ。
テレビ草創期のヒーローというと、
「月光仮面」を初めとして、
「七色仮面」
「アラーの使者」など、
川内康範原作の作品が目白押しである。
テレビヒーローの源流を作った人だった。
『仮面ライダー』シリーズ等は、この流れに続くものと考えていいだろう。
オートバイに乗った仮面ヒーローといえば、
『仮面ライダー』が登場するまでは『月光仮面』のことだった。
「憎むな、殺すな、赦しましょう」
毎回、番組が始まる前にこのスローガンが出る。
たしか、『七色仮面』でも同じスローガンがでたような記憶があるが、記憶違いか？
仏教徒である作者ならではの設定が、随所に見られる。
話は変わる。
空手家・大山倍達（押忍！）といえば、「けんか空手」で有名な極真会空手の創立者だった人だが、
梶原一騎原作の劇画『空手バカ一代』で広く一般にも知られるようになった。
この劇画の有名なエピソードのひとつに、
戦争に敗れ、死に損なった特攻隊帰りの大山が虚無感に捕らわれたまま、
池袋あたりのヤミ市を徘徊している時、
占領軍である米兵が日本の女性を襲う現場に出くわし、得意の空手で助けるという話がある。
この話は、劇画だけでなく、大山の自伝的著作にも繰り返し出てくる話である。
ただ、現実の方は劇画以上だったらしい。
毎晩のように米兵による強姦事件が起きているのを知った大山は、
米兵が現れそうな場所で待ち伏せて、夜な夜な米兵を襲っては、立ち去るということを繰り返していた。
戦争に敗れた悔しさもあって、この米兵襲撃にはかなり熱中していたようだ。
かなりの数の米兵を殺…いや、痛めつけたのは事実らしい。（本人が口を濁して、はっきりと言わない部分もあるんだよね。あやしい…）
そして本当に、米軍のＭＰ（Military Police）につけ狙われていたという。
それが盛り場の噂になり、当時の川内康範の耳にも入った。
『空手バカ一代』
日本の女性が米兵に襲われ、危機に陥ると、
何者かがサッと現れ、たちまち米兵を倒して女性を救うと、
なにも告げずにいつのまにか消えてしまう…
どこの誰かは知らないけれど、誰もがみんな知っている
疾風のように現れて、疾風のように去っていく…
正義の味方、月光仮面は、こうして生まれた。
だいぶ後になってから、川内康範と大山があった時に、
「じつは『月光仮面』は、あなたがモデルなんですよ」
と、川内が大山に語ったということである。
これは『いつ見ても波瀾万丈』というテレビ番組に大山倍達が出演した時、
大山自らが語っていたことだ。
ずいぶん前に終わっている番組なので、ご存じない人もいるかも知れない。
子供の頃楽しませてもらったヒーローは、想像の産物には違いないが、
しかし、物語から何かしらの真実を受け取って私たちは生きて来ている。
自分の大切な部分を、そんなヒーローたちが形作っているともいえる。
久しぶりに子供時代のヒーローに出会うと、なぜか元気になってしまうのは、そのためだろう。
大人になってから、完全に作り事だと思っていたヒーローに、
じつは実在するモデルがあったと知ったらどうだろう？
私の場合、『空手バカ一代』を通して大山倍達のファンだったところに、
「月光仮面」大山モデル説は強烈だった。
『いつみても波瀾万丈』ゲスト＝大山倍達
実はもう一つ、同じように大好きだったヒーローに実在のモデルがいたのを知ったことがある。
『快傑ハリマオ』がそれだ。
テレビの設定では、ハリマオの正体は海軍中尉大友道男だが、じつはそのモデルになった、
大東亜戦争開戦当時、朝日新聞に載った「ハリマオ」の記事があったのだ。
谷 豊。それが「快傑ハリマオ」のモデルだった！
太平洋のハワイ・真珠湾攻撃と同時に、
日本軍は戦略的に、亜細亜に於いてマレー半島上陸～縦断作戦を敢行した。
このときに日本軍に協力し、手下のマレー人とともに活躍したのが、
マレーの虎（ハリマオ）、谷 豊なのである。…
う～～ん。
このブログは、ガーデニング、アウトドアライフ、ハンギングバスケットなどを語るブログのはずなんだよね！
でも、マンガやアニメや映画や政治など、語りたいことが有りすぎて、なにかが起こるたびにジャンルからはみ出し勝ちです！
もっと徹底的に語るために、別なブログの立ち上げが必要かなあって、いま思っているところです。
１９８１年、映画に再登場した月光仮面。
大型トレーラーもひとっ飛び！
